日本映画横断 | ||
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順位 | 製作会社 | タイトル | 監督 | 製作年 | 主演 | memo |
1 | 東映 京都撮影所 | 徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑 | 牧口雄二 | 1976 | 内村レナ | 東映には、60年代後半に悪名高き「徳川女刑罰史」シリーズが石井輝男監督によって作られている。さすがに職人監督らしく好事家向きにそつなく作られてはいる。それに比べ牧口作品は、延々と続く拷問シーンに、見ること自体が苦痛を強いる。当時映画館で妙に力が入った、これほど酷い最低映画は、2度とお目にかかれないであろうと最後まで席を立てなかった。 |
2 | 日活配給 | 黒い雪 | 武智鉄二 | 1965 | 花ノ本寿 紅千登世 | 猥褻か否かで裁判になり、作品としてほとんど論ぜられたことのない映画。作品全体を覆う陰鬱な雰囲気がたまらなく、「反米」と言うお題目がなかったら映画の呈をなさない代物。後の「白日夢」「花魁」などブルーフィルムの世界。 |
3 | 石原プロモーション製作 東宝配給 | 蒼ざめた日曜日 | 森谷司郎 | 1972 | 浅丘ルリ子 若林豪 | 1972年の東宝作品はなんとも気の抜けた作品が並んでいる。「制服の胸のここには」「その人は炎のように」「辻が花」(私の田舎鳳来寺山でロケをしている)小川知子の「恋の夏」なんて珍品もあった。そうした中、最低ランクのこの作品「蒼ざめた東宝」などと揶揄されもした。若林豪はテレビのまんま、ルリ子さんがほんとに気の毒でした。 |
4 | 東宝配給 | 梟の城 | 篠田正浩 | 1999 | 中井貴一 | 篠田作品最高傑作「心中天網島」を見た時の驚き、それ以降「沈黙」「はなれ瞽女おりん」が印象に残るも悲しいぐらい年とともに、力の衰えを感じてしまう。CGを多用した「梟の城」そこそこヒットしたと言う、まだNHKの大河ドラマの方がおもしろくないか? |
5 | 東宝 | 影武者 | 黒澤明 | 1980 | 仲代達矢 | この映画、私だけでなくセリフが聞き取れないとの声があり、まず印象が悪い。多くの人がチャンバラを期待したがそんなシーンは皆無。観念的な時代劇を狙った意図は理解しつつも無残さだけが残る。 |
6 | スタジオジブリ・東宝他 | 千と千尋の神隠し | 宮崎駿 | 2001 | アニメ | 大御所になった監督、高みからのアニメになった気がする。前作「もののけ姫」の説教くささもいただけない。手塚治虫さえも嫉妬させた才能、老け込むのはまだ早い。 |
7 | 角川春樹事務所 | 人間の証明 | 佐藤純弥 | 1977 | 松田優作 | 今や薬物中毒で塀の中の角川春樹、大量宣伝で駄作までもヒットさせてしまった。その後も映画好きの体質は変わらず幾本かの良質な作品を製作している。なぜか憎めぬ時代の寵児であった。 |
8 | 松竹配給 | 男はつらいよ 寅次郎紅の花 |
山田洋次 | 1995 | 渥美清 | 死相が漂う渥美清、浮世の義理で作ってしまったそんな映画は見たくないし見せてはいけないと思っています。「激動の1750日」の亡霊のような中島葵、「写楽」の声に張りのないフランキー堺、等々ファンであればあるほど悲しい。 |
9 | 若松プロダクション | 新日本暴行暗黒史 復讐鬼 | 若松孝二 | 1969 | 吉沢健 | 敢えてひんしゅくを買うような映画こそ俺の映画だと豪語する監督。全編乾いたタッチで差別されし若者が人を殺してゆく、見るものに罵詈雑言を叩きつける。自由な解釈をしないと見ていられない。こんな映画もあったんです。 |
10 | 日活配給 | 海は見ていた | 熊井啓 | 2002 | 清水美砂 | 「忍ぶ川」「サンダカン八番娼館・望郷」を頂点に緊張感のない作品が続いている熊井監督。この作品は、黒澤明のシナリオが決定的に時代とのずれを作ってしまっていると思う。 |
番外 | 東映 | 聖獣学園 | 鈴木則文 | 1972 | 多岐川裕美 | 東映(東京撮影所)お得意の風俗物。どおってことのない作品でしたが後年主演の多岐川がハダカの場面は私ではないと言い出した事には呆れてしまった。自分のデビュー作には責任を持たなくては、鈴木監督が気の毒でした。 |